レポート

『アフリカの若手建築家』展

文・写真:柴田直美

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9月24日から、ボルドー(フランス)にあるアルカンレーヴ 建築センター(arc en reve centre d'architecture)で、『アフリカの若手建築家』展が開催された。若手建築家や大学をサポートするArchitecture Studio との協働で企画され、2010年からヴェネチアで開催されていた若手建築家展の巡回展である。中国(2010年)、アラビア諸国(2012年)と続き、2014年にアフリカ諸国の建築プロジェクトを公募し、応募があった194の中から選ばれた16のプロジェクトが展示されている。アルカンレーヴ 建築センターのディレクターの1人、ミシェル・ジャック氏が審査員の1人であったことから、ボルドーへの巡回が決まったという。

アフリカの建築家といっても、アフリカで活躍する外国人建築家から、アフリカ出身で海外で活動する建築家、海外で教育を受けたあとにアフリカに戻った建築家、アフリカで教育を受け今もアフリカで活動する建築家まで、参加建築家のバッググラウンドは幅広い。それを解き明かそうかとするように、9月23日に開催されたシンポジウムでは、ディレクターのフランシーヌ・フォール氏から「アフリカの明暗を示す3つのイメージを選び、それについて話す」というテーマが設定された。登壇者の1人、マリアム・カマラ氏(UNITE4DESIGN)は現在、米国で活動する建築家であり、「アフリカでは米国にない『希望の風』を感じる」と話す。同様に他の登壇者も欧米のニュースなどで取り上げられるアフリカの側面が全てでない、と同意する。

「エチオピアを除く全ての国が植民地化されたことによって、似た問題を抱えることになったけれど、もともとかなり多様な文化を持っている。」と登壇者たちが言うように、アフリカをひとくくりにするのは乱暴かもしれない。登壇者の多くは、もともと持っていた文化に根ざした都市計画や建築を提案しているが、いっぽう、経済的に成長を続けるアフリカのクライアントが、かつての文化やコンテクストは無視したスカイスクレーパーを希望する状況も指摘する。そのようなクライアントはテレビで見たどこかの国のような生活を求めているので、自分たちの原点を思い出すような建築を建てられる機会は少ないそうだ。

アルカンレーヴは心理学を学んだフランシーヌ・フォール氏と建築家のミシェル・ジャック氏によって33年前に設立された建築センター。シンポジウム翌日にフォール氏にインタヴューをすることができた。フォール氏が「ここでは人の3倍働くことが求められる」というように、少人数精鋭のチームで運営され、彼女は子ども向けワークショップのプログラム・マネージャーやセミナーなどの企画者・司会も兼任し、建築家であるジャック氏は展示デザインも手がける。フォール氏は、建築は美術館に陳列されるものではなく、生きているものとして捉え、展示にはできるだけ実寸で展示することや、人々が展示に参加できるような仕掛けをつくることを心がけている。

「活動を通して一般の人とのつながりを感じますか?」という私の問いには、ボルドーに新設されるトラムについての展示に置いていた芳名帳に「今の市長とは正反対の政治ポリシーを持っているが、このトラム導入については素晴らしい功績になると思う」といった意見や「これだけの技術が必要とされていることがわかって、総工費が高くなるのは当然だと納得がいった」という意見があった、という例で答えてくれた。また、今回のシンポジウムにも多くの建築専門外の人々が来場しており、活発に質問が出ていた。

フォール氏はボルドー市長や地元の新聞などのサポートといった条件が整い、このセンターが始まり、続いているという。公立の組織ではないので、「私たちが創設し、企画・運営している」センターであるという思いが伝わって来るインタヴューであった。創設者の情熱とエネルギーが今も続いていることに敬服し、ボルドーというパリから3時間離れた都市でこそありうる建築センターが33年かけて形づくられたのだと思った。

「アフリカの若手建築家(Young Architects in Africa)」展

アルカンレーヴ 建築センター(arc en rêve centre d'architecture)
Entrepôt, 7 rue ferrère F 33000 Bordeaux

会 期:2015年9月24日~11月22日

開場時間:11:00~18:00(木 ~20:00)

休館日:月曜・祝日

入場料:6,50€

http://www.arcenreve.com