「所有対象としての建築」
現在「戸建て・持ち家」を安く手に入れるものとしてミニ開発のような狭小で低価格な住居=「所有対象としての建築」が多く見られる。しかし、ミニ開発では本来の戸建て・持ち家の住居が持っている空間的な豊かさは失われている。そこに残るものは表層的な土地の所有だけである。そこで「戸建感のある集合住宅」という新しい住宅のベーシックを提案する。この住居では今までのような土地の所有はない。かわりに住人は豊かな空間を手に入れる。多くの窓を持ったこの家は環境の因子を多く含む。その中で人は環境と個人の関わりにより様々な居場所を作る。その住居は隅から隅まで住み手の意味で満ちる事となる。身体の延長となったこの住居は本当の意味で自分のものとなる。社会的な意味でしかない土地の所有ではない「空間の所有」こそこれからの私たちには必要なのではないだろうか。