段畑の住宅   富永 大毅/富永大毅建築都市計画事務所  藤間 弥恵/富永大毅建築都市計画事務所

農業に従事する人口は年々減り続け、1980年代に40%あった国内の全人口に対する農業就業人口は2009年には2.2%まで落ち込んでいる。農業の所得がメインの世帯まで絞り込むとわずか0.8%の世帯がこの国の台所を支えていることになる。加えて65歳以上の高齢者が61%という現状にある。一方で若者をはじめ潜在的に農業に対する関心は高まっており、都市近郊の貸し農園は常に予約待ち、週末体験農業もビジネスとして成功を収めている。潜在的な農業人口は300万世帯とも言われている。
この状況に加え、ネット環境の向上でどこでも仕事ができるようになった中、菜園となる広い庭を求めて、少し遠い郊外へ新居を求める動きも出てきているが、整っていない町へ越すというのはなかなかハードルが高い。
そこで、まもなく開発から50年を迎える開発初期の東京近郊のニュータウンに着目し、建替え時に屋根を利用して野菜を育てられる木造住宅を設計する。