都市を持つ家   佐藤 建/立命館大学

近年、都市回帰の動きが非常に高まりつつある。
「都市に住む」
ということはどういうことなのだろうか。
大きな家は建てられないかもしれない。
広い庭はつくれないかもしれない。
それでも都市に住みたい人はたくさんいる。
都市はたくさんの人、
そしてモノやコトであふれている。
たとえ小さな家で、小さなスペースでも、
たくさんある都市の要素が
足りない部分を補ってくれる。
住宅は社会から身を守る場でありながら、
社会と繋がるための場でもある。
この住宅は、庭ではなく都市を持つ。
隙間から都市が入り込んでくる。
パブリックとプライベートの境界は曖昧で、
都市につなぎとめられた、
自分だけの小さな小さな家である。
住宅が都市を持つ。新しい住宅のベーシックである。