屋根の家と壁の家 公私を捉え直すこれからのベーシックな住まい。   林 晃平/立命館大学

現在、日本の住宅地はどこも同じようで都市にたいして閉じている印象をうける。古き良き時代と呼ばれる頃に比べると人と人、人と自然との関係は希薄になったといわれる。なぜか?私は人々の暮らす住宅の形式が変わったことが原因のひとつに挙げることができると考える。それまでの住宅は屋根を主としたもので軒や縁側などを通して外部とつながっていた。しかし、プライバシーの確保などにより壁を建て始め屋根の建築から壁の建築、しまいに箱の建築と変移した。住宅は内部に生活を閉じ込め、自然とも疎遠になった。現代の「家」は自然環境を受け入れつつも現代の生活を損ねない様にしなければならない。
壁と屋根を切り離し少しずらしておいてみる。屋根の家は外から丸見えだが街に開かれ雨風を防げる。壁の家は最低限の空間しか持たないがプライバシーを保て雨風、日光など自然を豊かに感じることができる。お互いの家は持ちつ持たれつの関係でそれぞれの良さを使いこなして生活をおくる。パブリックとプライベートをずらす、このちょっとした出来事で住宅地はずっとよくなる。