「玄関」という概念の更新   松本 遼平/宇都宮大学大学院

故きを温ねて新しいものを創る
日本民家の特徴として大きく2つのタイプがある。農業を営むため地方に建つ農家と、商工を営むため都市部に建つ商家である。これら2つのタイプは、住まいと生業の結びつきが強い。一方現代では、文明の発展に伴い職住分離が主流になっている。それは同時に住まいにおける人と人のつながりを希薄させることとなった。そこで、人のつながりを今一度再生させるべく、先の2つのタイプの融合を試みる。さらに、現代的に人とまちとのつながりを強める手段として、2つのタイプに共通する「玄関」という概念の更新を図った。神社の鳥居のように身体スケールを超えた、新しい住まいの構えを用意する。これにより、私有の住まいとしての印象は希薄化し、住まいの内側がまちに開放される。人はこの建築に吸い込まれ、人と人のつながりによってこの建築は鼓動する。