大きな屋根の小さな家   鈴木 俊祐/フリーランス

人口減少が著しく、なおかつ従来の家族像が崩壊しつつある現代社会において、新しいベーシックな住宅に求められるものは、他者との関係性を生み出す仕掛けだと考えた。その仕掛けとは、プライベートな空間を極限まで集約し、それにより生み出された、屋根の下の大きな半パブリック空間のことである。そのような空間を作ることによって、今まではただの隙間であった空間が他者との関係性を生み出す場に生まれ変わる。そして、さらに、部屋同士を独立して設けることで、屋根の下の空間が積極的に利用されるようにすると共に、多様な住まい方を許容できるような住宅とした。
将来的にそのような住宅が連続していくことで、半パブリックな空間が重なりあい、より大きなパブリックな空間へと生まれ変わる。そして、やがてそれが都市の新しい風景を生み出していく。