A部門
最優秀賞
審査委員賞(木下賞)
都市型キャンプ式住居
井上 亮 | Inoue Yoshimura studio 株式会社 |
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吉村 明 | Inoue Yoshimura studio 株式会社 |
審 査 講 評
引き戸により外と直接つながる下階の「ユカシタラウンジ」と、高天井と天窓を持つ上階の「ヤネウラルーム」という、二つのヴォリュームにより構成されている。部屋数重視の住まいの考え方に一石を投じる、おおらかな空間的魅力が感じられる。
(木下 庸子)
審査委員賞(西田賞)
都市に浮かぶ -小さな個が都市へとつながる家-
山田 紗子 | 一級建築士事務所合同会社 山田紗子建築設計事務所 |
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鈴木 心 | 一級建築士事務所合同会社 山田紗子建築設計事務所 |
福田 海武 | 一級建築士事務所合同会社 山田紗子建築設計事務所 |
中村 裕太 | 一級建築士事務所合同会社 山田紗子建築設計事務所 |
近藤 暉人 | 一級建築士事務所合同会社 山田紗子建築設計事務所 |
審 査 講 評
最上階の個人空間から住宅を考えるという意欲作。屋根から自分の部屋に入り、そこから下ると家族の空間がある。大人になっても家族と暮らすような、シェアハウス的な個人と家族の住居像が提案されており興味深い。
(西田 司)
佳作
マドベハウス
青木 大輔 | NOTE |
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杉山 由香 | タテモノトカ |
審 査 講 評
内部と外部の仕切りとして、2枚の壁とその間の大きな「マドベ」空間が用意されている。マドベは時に内部からの延長であり、また時に外部からの延長ともなることで、プライベートとパブリックの緩衝領域としての役割を果たしている。
(木下 庸子)
営みの多重奏
宮本 裕也 | マ・アーキテクツ |
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留目 知明 | マ・アーキテクツ |
三浦 寛滋 | マ・アーキテクツ |
審 査 講 評
中心に作った「余白」を、広場のようなリビングと読み替え、隣あう機能やプライベートがはみでることを楽しむ建築。この余白(パブリック)の使い方は、住み手に任されるので、余白を自分色に染める暮らしが生じる。
(西田 司)
広くて明るい部屋
井上 岳 | GROUP |
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大村 高広 | GROUP |
齋藤 直紀 | GROUP |
棗目 久美子 | GROUP |
赤塚 健 | GROUP |
審 査 講 評
こんな大きな空間を、このエリアの住宅で持てるのか!と気づかされた建築。広さの価値は、住宅としても、地域にひらかれた場所としても価値がある。その広さを、住み手がカスタマイズしながら面白がる暮らし。
(西田 司)
B部門
最優秀賞
窓辺の詩学
大久保 尚人 | 芝浦工業大学大学院 |
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審 査 講 評
窓辺に着目し、窓の形状とともに、その周辺の内外空間をもデザインすることで、昔の縁側のような中間領域の再構築を図っている。平面、断面の主要な部分に曲線を用いながら、斬新でユニークな断面構成を持つ現代住宅の提案である。
(木下 庸子)
窓を窓単体ではなく、窓がある空間全体を「窓辺」と読み替え、デザインしていくアプローチが興味深い。壁も天井も窓辺なので、湾曲する、カウンターをつけるなど、あたかも家具のように窓辺空間を身体化する。
(西田 司)
審査委員賞(木下賞)
街に棲み、街と暮らす家
山本 充 | 岡山県立大学 |
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芝氏 大輝 | 岡山県立大学 |
濱野 颯良 | 岡山県立大学 |
審 査 講 評
住宅を、プライベートゾーンとパブリックゾーンに二分し、よりパブリックな部分を角地に面して高さのある透明で開放的な「街の広場」としている。これは街の行灯のような効果とランドマーク性を合わせ持ち、街並みに貢献している。
(木下 庸子)
審査委員賞(西田賞)
丘の中の暮らし
佐藤 直哉 | 福岡大学 |
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早稲田 誠也 | 福岡大学 |
萩尾 匠 | 福岡大学 |
審 査 講 評
住宅の設計手法を街に増殖し、街の風景に貢献していくデザイン。緑の丘のような外観から一歩中に入ると、街はほぼ感じられず、木に包まれた空間にスリット状の光が広がる。その内外を行き来し暮らすことは興味深い。
(西田 司)
佳作
太陽と土の住まい
- 棚田 悠介東京電機大学
審 査 講 評
現代都市において建物が太陽と土を分断していることを問題視、建物ヴォリュームを斜めに切り取ることで太陽を土まで到達させる試みである。現代社会において、自給自足の循環型生活スタイルの復活を目指している。
(木下 庸子)
音色を包む雲の様~
- 高島田 礼工学院大学
審 査 講 評
音環境から都市の住まいを考える提案である。都市のなかで人工的な音を取り除き、自然の音を住宅に取り入れることを目的として採用されるさまざまな形状の建築要素が、実にユニークな建物の形態を生み出している。
(木下 庸子)
選外佳作
コの時間を大切に
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都市と距離を測ってみる
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都市に懸け造る
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スキマに宿る生活
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階段から考えるいえづくり
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審査総評
審査委員長 | 建築家・工学院大学教授 木下 庸子氏
この設計競技の最大の特徴は、実際の住宅建設予定地を対象としている点にある。また、A部門の「実施設計部門」においては、最優秀案は建設と販売を前提としており、若手建築家にとっては自身の建築作品を実現できる絶好のチャンスとなる。一方で、主催者である三栄建築設計にとっては、斬新なアイディアとともに販売を達成しなければならない大きなチャレンジでもある。
今回の対象地である世田谷区松原の狭小敷地は、角地とはいえ、2方向の道路からの斜線制限がかかった難しい敷地であった。難しい敷地だったからこそ、知恵が凝縮されたヴァリエーションある設計解に通じたといえるのかもしれない。
最終選考に残った6案はどれも、難しい条件を逆手に取った特徴ある提案だった。B部門である「学生アイディア部門」も斬新な建築提案よって、プロフェショナル対象のA部門に決して負けない、インパクトある提案が目立った。
審査委員 | 建築家・東京理科大学准教授 西田 司氏
大変盛り上がった審査会だった。実際に設計し建築する設計競技のため、提案者それぞれが普段どのような視点やアプローチで設計しているかビシビシ伝わってきて、審査側が試されているような緊張感があった。
審査には、最優秀作品を共に建築する三栄建築設計のメンバーもおり、どこまでギリギリ可能で、どこから難しいかの紙一重のところを狙って議論し、野心的でありながら冷静さを持続させる時間だった。
最優秀賞の「松原ハウス」は、審査員全てが推すポイントを持つ意欲作で、建築の建ち方と立体的な空間体験の双方から評価された。
その他の入賞作も、心を捕まれる切れ味を持つ案ばかりであったが、同時に設計段階やその後の住み方に不確定さを孕んでおり、その不確定さを面白がり、設計段階でどう上手くバランスしていくかが、審査の時間内では議論し尽くせなかった。ただここで提案された視点や設計は、未来に向け今後も議論し続ける価値あるものであった。
審 査 講 評
敷地の縦長方向に沿って細長いヴォリュームを段々に積み上げてできた、長さを活かした平面構成を持つ住宅である。セットバックにより生まれた細長いテラスは、周辺に存在する植栽帯を意識して設えることで、まちに溶け込む風景となる。
(木下 庸子)
敷地の長辺方向を活かした庭やテラスの設計により、立体的なランドスケープをつくり建ち方の独自性を獲得している。また連続展開図で描かれる各部屋の階高や開口部の変化により、多様で魅力的な体験を増幅している。
(西田 司)