DCタワー1(オーストリア、ウィーン)
Design: Dominique Perrault
設計:ドミニク・ペロー ドナウ・シティのスーパー・ランドマーク |
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フランスの建築家ドミニク・ペローが、オーストリアのドナウ・シティに同国最高の超高層ビルを完成させた。周知のように、ドナウ・シティはウィーンの旧市街を外れたビジネス地区として開発された地区で、オーストリアの建築家アドルフ・クリシャニッツとハインツ・ノイマンによってマスタープランがデザインされた。
2002年ドナウ・シティ最後の開発地区として残っていたこのエリアで、開発コンペが開催された。1等を勝ち得たドミニク・ペローの案は、アイコニックなキャラクターとウィーンの歴史性が織りなす圧倒的な視認性をもつ「DCタワー1」となって実現された。 「DC(ドナウ・シティ)タワー1」の敷地は、当初から途方もないポテンシャルをもっていた。敷地はドナウ川のトポグラフィーで形成されたオープンでフラットな土地。ウィーンの旧市街と新市街に対峙した橋頭堡として、ドナウ川に面した東岸の高台に位置している。しかしここはすでにいくつかのコンセプトがトライされたこともあり、決して真っさらな状況ではなかった。かつてのコンセプトであるひとつの仮想現実性が存在していた。 高さ220mの「DCタワー1」は、オーストリアでは最高の高さを誇っているが、その特徴は高さにあるのではない。建物は側面をドナウ川に面し、正面はドナウ川を横切る鉄道線に面するという景観的にも機能的にも好立地にある。さらに鉄道駅から近いという至便性などは、建物がもつ無類のメリットとなっている。 初期開発におけるコンセプトの目的を覆し、WED(ドナウ・シティ開発当局)は、ペロー事務所が考える現代都市の躍動感をタワーの内外に芽生えさせようという計画には不可欠な条件である、タワーの複合開発を目指すことに同意した。こうして周辺エスプラナードのパブリック・スペースに活気に満ちたアーバン・ライフを導入し、ドナウ・シティの真のエントリー・ゲイトを形成することができた。 本来の計画では同じようなタワーがもうひとつ第2棟として立ち上がり、それは線路を背にして正面側がややドナウ川に振った形で、完成した第1棟に対峙することになっていた。聳え立つ第1棟がもつうねるファサードのヴィジュアル効果は、この新しいエリアのエントリー・ポイントを暗示しつつ、ドナウ・シティのスカイラインを読み取る新しい方法を創出した。 外壁ファサードの流動的・非物質的キャラクターに対し、インテリア空間は現実的かつ物質的な存在としている。構造なども隠すことなくRC部分に触れることができ、ロビーや通路の石材やメタルは、タワーの力強い安心感を与えるフィージビリティに貢献している。 河岸のエスプラナード・レベルからエントランス・プラザへと段状に上昇するトポグラフィーによって、ドナウ・シティとパブリック・スペースの水平性が巧みに建物の垂直性と折り合い良く収まっている。さらにトポグラフィーから生まれた空間的インターフェイスが、メタリック・アンブレラが点在する建物周囲に展開する種々のイベントにアクセス可能としている。 建物の最大の特徴である正面ファサードに展開する垂直的かつ直線的にうねる数条のガラス起伏ラインは、新鮮なデザイン感覚が圧倒的なアイ・キャッチャーとなり、ドナウ・シティのスーパー・ランドマークとなっている。 |
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