キャンベル・スポーツ・センター(アメリカ、ニューヨーク)
Design : Steven Holl
設計:スティーヴン・ホール フィールド・プレイ・ダイヤグラムに想を得た建築コンセプト |
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今や数いるニューヨーク建築家の中でも圧倒的に仕事量が多く、巨匠級となってきたスティーヴン・ホールは、国際コンペに滅法強く、世界中にプロジェクトを展開させているスーパースターだ。数ある海外プロジェクトの中でも、チャールズ・レニー・マッキントッシュが設計した世界的に有名な「グラスゴー美術館」の増築が完成したばかりで、世界建築界の人気をさらっている。
紹介する「キャンベル・スポーツ・センター」は、ニューヨーク・マンハッタンのまさに最北端部にある。並行するブロードウェイと高架の地下鉄1号線が、ウエスト218番ストリートと交差する北側コーナーに位置している。建物はコロンビア大学アウトドア・スポーツ・プログラムの重要なアスレティック施設であり、ベイカー・アスレティック・コンプレックスへの新しいゲイトウェイを形成している。 コロンビア大学のキャンパスでは、1970年代中期に建設されたマーセラス・ハートレイ・ドッジ・フィジカル・フィットネス・センター以後、初めて建設された新しい建物が「キャンベル」だ。それは改修なった「ベイカー・アスレティック・コンプレックス」の重要な拠点となり、また全インターカレッジエイト・アスレティック・プログラムで必要とされる拡大プログラム・スペースを提供している。 「キャンベル」は、学生の精神、肉体、およびスポーツと勉強の文武両道を目指す精神&肉体の3つの鍛錬を目的としている。ここではフットボール、サッカー、野球のなどのフィールド・プレイに用いられるダイヤグラムのような、”グラウンド上のポイント(点)と空間におけるライン(線)”というデザイン・コンセプトは、スロープ状の敷地にポイント的に敷設された建築の基礎から発想された。ダイヤグラムにおける点と線が、フィールド上で肉体的なプッシュ&プル(押す引く)を生み出すように、建物の立面形も空間的なプッシュ&プル(凹凸)を表現している。 建物はブロードウェイと128番街のアーバン・コーナーを形成しており、さらに上昇してポータル(ゲート)を構成してグラウンドと街並みを連結させている。段上のランドスケープの上部に張り出したブルーのソフィットが、「ベイカー・アスレティック・コンプレックス」のアーバン・スケールを持つポルティコの開放性を強調している。空間のラインとして機能するテラスや外部階段は、フィールドのプレイを室内に引き込み、グラウンドやマンハッタンを見晴らす上階レベルからのビスタも取り込んでいる。 コンクリート打放しとスティール構造に加えて、サンドブラーストしたアルミの外壁をもつ建物は、ベイカー・フィールド(グラウンド)のユニークな歴史につながる関係がある。1693年当時、スパイテン・ダイヴィル渓谷をまたぐキングス・ブリッジが、マンハッタンへのメインとなるアクセスであった。垂直上昇橋であるブロードウェイ・ブリッジという現在のインフラストラクチュアは、何百トンもの輸送能力に匹敵する高架の地下鉄とブロードウェイの両者を渡している。スティーヴン・ホールはそのディテールや構造を、「キャンベル・スポーツ・センター」におけるデザインのそこかしこに、巧みに反映させている。 |
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