ザ・バウ(カナダ、カルガリー)
Design :Norman Foster
設計:ノーマン・フォスター ダイアグリッド・ストラクチュアによる引き締まった超高層ファサード |
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フォスター&パートナーズは、アトリエ的なデザイン・センスを残しつつ、大規模設計事務所のそれをはるかに凌駕する作品群を生み出し続けているのは素晴らしい。あらゆる建築タイポロジーをものともせず、すべてに渡って強力な組織力で密度の高い作品を生み出す。中でもオフィス・タワーという建築ジャンルには抜群の冴えを見せて来た。「香港上海銀行」「センチュリー・タワー」「ガーキン(スイスRe本社ビル)」「ハースト・ビル」など枚挙に暇がない。
「ザ・バウ」(弓の意)はカナダのカルガリーに完成した58階建て237mの超高層オフィス・タワー。トロント以外ではカナダ最高の高さを誇っている。かつて冬季オリンピックが開かれたカルガリーのスカイラインに出現した大胆なランドマークだ。 建物はさらに都市的、社会的、環境的にも重要な位置を占めている。足元のパブリック・スペースはショップ、レストラン、カフェなどで埋まり、それが広いランドスケープ・プラザにまで展開されている。他方オフィス・フロアは、6層分吹抜けのスカイ・ガーデン3つによって分節されている。それにより自然換気を採用し、省エネに貢献している。 カルガリー・ダウンタウンの主軸をなすセンター・ストリート。その東側では初めての大規模開発となる「ザ・バウ」は、大手2社の本社が入居するシェアード・ヘッドクォーターズ・ビルとなっている。タワーの形態は、綿密な気候と組織の分析結果から決定された。 建物のガラス・ファサードが内側にカーブする面は、タワーを貫くフルハイトの連続するアトリウム群を構成するために手前に出ている。これらの空間はクライマティック・バッファー・ゾーンとなっており、建物をインシュレートすると同時にエネルギー消費を大幅に減じている。 各階フロアは多数のビジネス・ユニットを収容すべくサイズが小割になっているため、社内でのコラボレーション等のために、オフィス空間に社交的な領域をつくる必要があった。そのためオフィス階へのアクセスは、3つのスカイ・ガーデンを通して行うことにした。24階、42階、54階にあるスカイ・ガーデンはアトリウムに張り出しており、成長した樹木、ベンチ、ミーティング・ルーム、ケータリング施設、ローカル・エレベータ・コアが配されている。また最上階のスカイ・ガーデンには、オーディトリアムがある。 さらに建物は近隣のビル群と水平方向に繋がっている。カルガリーの厳しい冬を避けるため、2カ所で歩行者用インテリア通路に接続している。ショップやカフェのある2階は一般に開放されており、ここからはセンター・ストリートを越える唯一のペデストリアン通路として、ダウンタウン・ネットワークにリンクしている。 外観では弓形にカーブしたエリアが、広いランドスケープされたパブリック・プラザと融合し、その中心部にはスペインのアーティスト、ジャウメ ・プレンサのランドマーク彫刻が置かれている。 |
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