ローヌ・アルプス州庁舎(フランス、リヨン)
Design :Christian de Portzamparc
設計:クリスチャン・ド・ポルザンパルク 高性能サステイナブル・アーバン・オアシス |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
フランスのリヨンに完成した「ローヌ・アルプス州庁舎」は、延床面積約45,000㎡の中に、事務室に加えて、州議会、州議員室、集会室、展示スペース、レセプション・スペース、イベント・スペースといった数多くの機能空間を擁した巨大建築である。
南北は長さ128m、東西は75m、高さ35mの建物は、リヨンの1ブロックを占める堂々たる体躯。建物は平面的には敷地なりのシンプルな長方形平面だが、立面形および断面形は非常に大胆だ。特に西側立面はL字形ラインで外壁を分断し、地上に近い部分をガラスの開口部として、外部から内部の活動を丸見えにしている。 反対側の東側では、外壁を3次元的L字形にえぐり取るという大胆な形態操作を披露。またフランソワ・ミッテラン・エスプラナードに面する間口75mの北側には、西寄りにガラス張りのメイン・エントランスがある。この部分は西側外壁のガラス開口部が、北西側コーナーを回り込んで北側に延びて来たような印象だ。 内部の目玉はグラン・ダレ(大通り)と呼ばれる高さ35mの吹抜け大空間。真っ直ぐ100m近くも延びるパースペクティブは強烈な迫力だ。さらに巨大なトップライトが、これもずーっと延びて外部空間のような明るさと広がり見せて度肝を抜かれる。2,800㎡の広さを誇るグラン・ダレは、「ローヌ」における最大の建築的チャーミング・ポイントなのだ。 これら5つの構成エレメントのうち、ヴォリューム3を除いた4つ全てが横に繋がってひとつの巨大空間に収まっているのが「ローヌ」のすごさだ。ヴォリューム1と2はRCの柱で支持された斜めの底部をもち、ピロティを構成しているのだ。ヴォリューム2の下側は展示スペースとなっている。 グラン・ダレに立つと、左右に傾斜ラインをもつ大きなピロティが出現し、あたかも外部にいるかのような錯覚にとらわれる。それほど明るく巨大な空間は開放的で、近隣住民の散歩コースとして、また展示やイベントのスペースとして絶大な魅力をもつアーバン・オアシスとなっている。 庁舎の主要空間である600人収容の議場は、建物の南端に位置を占めており、ちょうどグラン・ダレの正面突き当たりにある。半円形平面の議場は地下レベルから立ち上がって3層吹抜けだが、その上部は植栽されたインテリア・ガーデンとなって大空間に顔を出しているのが面白い。 この最深部にある空中庭園(インテリア・ガーデン)には、植え込まれたグリーンの空中上部を横切る散策用のスロープ・ブリッジがある。この空中ブリッジを渡る時、メイン・エントランス方向を見返すと、グラン・ダレの長大なパースペクティブが視界に入り、改めて空間の迫力に圧倒される。 広いガラス面全体をダブル・ファサードとし、1,100㎡もの太陽電池を敷設して消費エネルギーの7%をカバーし、さらに省エネ人工照明を導入、高度なヴィジュアル・エルゴノミックスの採用、太陽熱利用による給湯システム、雨水利用による植物散水・洗車・トイレ用水などを縦横に駆使した「ローヌ・アルプス州庁舎」は、高性能サステイナブル建築の逸品であった。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|