ギャラクシーSOHO(中国、北京)
Design :Zaha Hadid
設計:ザハ・ハディド 巨大都市北京の流体的アーバン・ランドマーク |
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「ギャラクシーSOHO」は、北京市中心部に完成した延床面積約330,000㎡に及ぶ巨大建築。オフィス、商業施設、エンターテイメント・コンプレックスを内包する建物は、メガロポリス北京の縮図ともいえるスケールだ。実際にザハ・ハディドは、北京という都市の巨大なアーバン・スケールにインスパイアーされたコンセプトをベースにしている。
「ギャラクシー」は4つの建築からなっているが、最大の特徴は4つの流体的ヴォリュームが延長されたブリッジ群でリンクされ、あるいは互いに溶融し、間断のない連続性を表現した一大コンプレックスになっている点だ。 これらのヴォリュームは、すべての方向において互いに見事な相性を見せて連結されており、形態的コンポジションの流動性を遮断するような角張ったコーナー部分や、突然の空間変化が一切ないパノラミック・アーキテクチュアを生み出している。 各ヴォリュームは地下3階・地上15階建ての高さ67mで、地上階は3階までを階高5.4mの商業スペースとし、その上部には階高3.5mのオフィス・スペースを積層化している。地下1階は商業スペースとし、地下2階と3階はパーキング・エリアとしている。メインとなる外装材は3mm厚のアルミ・クラッディングで、光り輝くイメージが未来的な相貌を見せて迫力十分だ。 4棟のタワーはそれぞれ中心部に巨大な吹抜け空間をもつ楕円形プラン。これらが低層階では相互に溶融して混じり合ったような有機的なプランを形成し、ひとつの大きな建築のよう平面形を見せている。だが上階にいくと、空中ブリッジが延びて4棟は高い位置で接続されるが、東側大通りに面した2棟同士は繋がらない。 ザハ・ハディドは、中国の伝統的な建築に特徴である連続的な内部オープン・スペースを生み出すコンセプトを採用した。ここでは建築はもはや堅固で量塊的なマッスではなく、ヴォリューム同士が合体して、相互に適応した流体的な動きもつ新しい空間となっている。 建物相互へのデザイン・インパクトの程度を変化させることによって、来館者が建築に十分浸っているという没入感や、また建築のふところに深く抱かれているという包摂感を感じるよう仕組まれている。来館者が建物内部へと進むに連れて、彼らは次々と現れる同じような形態ロジックをもち、かつ居心地のよい連続的な曲面空間に出会う配慮がなされている。 3階までがパブリックな空間だが、直ぐその上の階は先端的なビジネス群のワーク・スペースとなっている。また建物の最上階は、レストラン、バー、カフェに当てられ、北京市の広大なダウンタウンを見晴らす格好のヴァンテージ・ポイントとなっている。 これら種々の異なる機能をもつ空間は、常に都市にリンクされたインテリア・スペース群によって巧みに連繋されている。女性建築家として世界ナンバーワンといわれるザハ・ハディドは、「ギャラクシーSOHO」を大都市北京の揺るぎなきアーバン・ランドマークのひとつとして、見事に君臨させたといえる。
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