広州オペラハウス(中国、広州)
Design : Zaha Hadid
設計:ザハ・ハディド 自然のアナロジーもつウルトラ・スーパー・アーキテクチュア |
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ザハ・ハディドによる中国の「広州オペラハウス」が完成し、その先端的斬新なフォルムが話題となっている。建物は広州のパール川沿いの敷地に建つ、1,800席のオペラハウスと400席の多目的ホール。加えて両者をつなぐ広いプラットフォームからなっている。
延床面積70,000㎡、高さ43mの巨体は、ザハ特有のデコンストラヴィスティックなふたつの建築フォルムを形成している。建物の外観形態は、近隣を流れるパール川にあるふたつの小石を参照したものだ。流れに浸食された石をシンボライズした形は、空間的に自由な角度に折り曲げられ傾斜した多面体を構成。強いヴィジュアル・インパクトを観客に与えている。 実際にはオペラハウスが傾斜した3角形もしくは4角形の64面で覆われているのに対し、多目的ホールは37面で覆われている。異なるサーフェスが相交わる接続面はシリンダー状に面取りされ、複数の接続面が集まる角部分はハイパーボリック(双曲面的)な面取りと、厄介な処理が施されている。 建物は屋根とカーテンウォールをインテグレートさせた建築システムで、2重のストーン・パネルとガラスによるクラッディングを採用。ガラス・ゾーンが自由な形態で、建物にまとわりついた構成で、これが建物により込み入った表情を与えている。 屋根やファサード上には種々の凸凹面が生まれており、最大のものは18mもの落差を生じている。そのため外壁は突出・陥没を繰り返し、これによりジオメトリックな固さを軽減している。オペラハウスの平面的長さは136m、幅は129mに対し、多目的ホールのそれは88mと62mとなっている。 だから建物を設計する時、メタファーを考えるより、アナロジーの観点、すなわちランドスケープ・アナロジーを考える。そこではナチュラル・ランドスケープの景観的特徴が、建物内部に展開される。例えばテリトリーとゾーン間の移行や、レベル間のスムースな移行がそれである。 また彼女にとって、自分が考案した建築コンセプトが、最新の技術で実現化されていくのに無上の喜びを感じているという。例えばここでは、メインのスティール・ストラクチュアはすべて非対称形で込み入っているが、従来の技術と最新のそれを用いている。強度を得るために、すべて異なる59個所のスティール・ジョイントは、中世の鐘鋳造所と同じ昔ながらのサンド・カースト技術を用いて制作。それらを、レーザーとGPS測位システムを使用して完璧に組み立てている。 外壁は構造形式に合わせた3角形の御影石を採用。メインのオペラハウスにはチャコール・グレイのラフなテリスチュアの御影石を使用し、小さな多目的ホールの外壁にはより明るい色のものを使用し、2棟の対照性を浮き彫りにしている。 モザイク状の3角形ガラス部分は、デザインのクリスタル的性格を強調し、空間に開放性を与えている。「広州オペラハウス」は、“空間折板3角形ラティス構造”を用いた世界初の建築。自然エレメントを超最先端テクノロジーで取り込んだウルトラ・スーパー・アーキテクチュアが誕生した。 |
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