ハルパ・レイキャヴィク・コンサートホール&会議センター(アイスランド、レイキャヴィク)
Design : Henning Larsen Architects
設計:ヘニング・ラーセン・アーキテクツ クォーズィ・ブリックによる万華鏡的ファサード |
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ヘニング・ラーセンと言えば、デンマークきっての国際的な建築家で、海外数カ所にブランチをもつワールド・ワイドな活躍をしている建築家である。北欧の風景、光、空気といった自然エレメントをテーマにした作品が多い。
ヘニング・ラーセン・アーキテクツの近作である「ハルパ・レイキャヴィク・コンサートホール&会議センター」は、アイスランドの首都レイキャヴィクの静かなハーバー・エリアにある。広さ28,000㎡の建物は、同市の活発なライススタイルや、澄みきった北欧の空や明るい海浜景色を反映した、光輝く巨大な彫刻が海に対峙したような佇まい。 建物は全面ガラス張りのジオメトリックな形態。だがそのガラス・ファサードが、フラットなガラス面とダイヤモンドを散りばめたようにキラキラと輝く部分に分かれている。アイスランドにはバサルト・ロック(柱状玄武岩)と呼ばれる、日本の東尋坊のような地形があり、観光スポットになっている。ラーセンはこれを参照して輝くファサードを構成したのだ。 バサルト・クリスタル(結晶)形の構成エレメントは、スティール・フレームの骨組をもつ12面体。この多面体が多数、上下左右にピタリと接着して大きなファサードを形成している。各ユニットは2次元平面でなく、3次元立体だから複雑だ。ジグザグに連結したユニットの内側は、フレームだけでガラスを装着していないので、人間がその4角柱の中に入って窓拭きができるのだ。 12のガラス面はクリア・ガラスとカラー・グラスを使用し、切子面状のファサードが昼間は海の光を反射し、夜間は内部照明の光を外部へと拡散させる巨大なライト・ボックスとなる。このユニットの集積によって、山形をした建物全体は、あたかも巨大なバサルト・ロックのトポグラフィーを形成しているかのようだ。 建物は平面上ふたつの部分に分節されている。ふたつの大きな内部機能をもつ建物は、海側から見て高さのある左棟にコンサートホールが、右棟に会議ホールが4つ収納されている。バサルト・ユニットのファサードは、主にアクセス側の南面に用いられている。 光と透明性をキー・エレメントにした建物は、ファサードのクリスタル形のストラクチュアによって自然光を捉え反射させ、建物・都市・周辺ランドスケープ相互間の対話を生み出している。さらに静的な存在としての建物を“ディマテリアライズ(非物質化)”させ、都市の光、海や空の色彩に対応することが目論まれた。 レイキャヴィクの「イースト・ハーバー・プロジェクト」は、広範囲にわたる港湾開発プロジェクトで、新しいダウンタウン・プラザ、ショッピング街、ホテル、集合住宅、教育施設、複合産業施設を含む。 このプロジェクトで東部港湾地区を活気づけることによって、新しい生活を生み出し、市中心部とより良きコネクションを目指したラーセン事務所は、地元のバターリード・アーキテクツと、アーティストのオラフール・エリアッソンとの協働で建物の完成をみた。 |
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