ザ・ウェイブ(デンマーク、ヴァイレ)
Design : Henning Larsen
設計:ヘニング・ラーセン 波打つ美形のシーサイド・ハウジング |
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ヘニング・ラーセンと言えば、デンマーク建築界における丹下健三的な存在である。1959年に事務所を開設し、現在160名近くのスタッフをかかえる事務所は、アイスランド、シリア、サウジアラビアにブランチを構え、特に中近東の作品が多い。
一昨年コペンハーゲンで見学した「カールスバーグ彫刻美術館」の、洗練された美しい自然光の導入手法が印象的であった。その巨匠が近年、デンマーク南東部にあるヴァイレの海に面した一等地に集合住宅をつくり話題になっている。 「ザ・ウェイブ」は文字通り“波”を意味しており、その形態を模した美しい波形が連続する集合住宅である。建物は2005年に行われたコンペを、ラーセン事務所が勝ち取ったもので、計画された波形5棟のうちの、海側から見て左側の2棟が2009年に完成した。 各住戸はすべて、海側と街側からの両面採光となっており、自然光の導入や通風は申し分ないつくりだ。駐車場をすべて地下レベルに配し、断面形で波頭の最上部の位置にエレベータ・シャフトを設定。その左右に住戸を配するという合理的なコンポジションだ。 ヴェィルの静かな湾に面した「ザ・ウェイブ」は、まさに波形をそのままシンボリックに表現したメタファーだ。曲面壁の連続性が、建物全体の一体感を柔和なヴィジュアル表現として結実させている点は見事と言う他はない。 建物はオーガニックな彫刻的形状をもつ斬新かつユニークな集合住宅で、ヴェイル市の新しいランドマークとして君臨することになろう。プロムナード(散歩道)と湾を見晴らす恵まれたロケーションにある美形のシーサイド・ハウジングは、このエリアのポテンシャルを尊重し、それにチャレンジしている。 昼間、白い「ザ・ウェイブ」は海面に映し込まれ、夜間は特徴あるプロフィールが、マルチ・カラーにイルミネートされた山々のような姿を出現させる。100戸の魅力的なアパートメントは、多くはメゾネット・タイプで、素晴らしいパノラマを満喫できる。 「ザ・ウェイブ」は近隣エリアの特徴によって啓発されたコンセプトをベースにしている。即ちフィヨルド(湾)、ブリッジ、近隣のタウンスケープ、丘など。「ザ・ウェイブ」の明快で容易に判別できる特徴によって、この住居エリアを海やランドスケープや街へと連続させている。 全5棟が建った完成予想図のCGをご覧あれ。長さ132mに渡って延る5棟の波形棟のシーケンシャルなフォルムは、圧倒的な美形のインパクトを発揮している。今後残りの3棟が早く完成して、5棟が揃った当初のプログラム通りの完璧な姿で、早くお目見えして欲しい。 |
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