MGMミラージュ・シティセンター・クリスタルズ(ネバダ州ラスヴェガス)
Design Consultant : Daniel Libeskind
設計コンサルタント:ダニエル・リベスキンド シャープに屹立するクリスタル群 |
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「グラウンド・ゼロ」のマスタープラン・コンペを制したあのダニエル・リベスキンドが、ラスヴェガスに乗り出した。と言ってもギャンブルをしに行ったわけではない。ラスヴェガスの巨大プロジェクトの設計に参加したのだ。ギャンブル都市の中心部に完成した「MGMミラージュ・シティセンター」において、その設計を担当したアダムソン・アソシエイツのデザイン・コンサルタントとして加わったのである。
プライベートな開発では近年アメリカ最大の都市開発といわれる「MGMミラージュ・シティセンター」は、世界の著名建築家が参加したスーパー・プロジェクト。リベスキンドは商業スペースとパブリック・スペースのコンプレックスという低層ゾーンを担当したが、他の建築家は超高層ビル群を担当した。 まずヘルムート・ヤーンが設計した「ヴィーア・タワーズ」は37階建ての集合住宅2棟で、互いにダンスをしているような形態。ラファエル・ヴィニョリが担当した「ヴダラ・コンド・ホテル」は57階建てで弓状に湾曲した巨大ビル。シーザー・ペリの「マリア・リゾート&カジノ」は、4,000室をもつ巨大カジノ・ホテル。 さらにKPFが400室と227戸の住戸をもつ「マンダリン・オリエンタル・ホテル」をデザインし、以上のアメリカ勢に加えて、イギリスのノーマン・フォスターも「ハーモンホテル&スパ」を設計。高所からスパに浸りつつ、このギャンブル・都市を見下ろすという奇抜なアイデアを披露している。 「クリスタルズ」と呼ばれるリベスキンドが手掛けた商業施設部分は、もっとも環境を意識した工法と材料を採用している。2009年11月、「クリスタルズ」はアメリカ・グリーン・ビルディング評議会のLEEDゴールド・メダルを受賞したサステイナブル・デザインの傑作である。 ラスヴェガス通りに面する「クリスタルズ」は、文字通り水晶の結晶のように鋭角的なエッジが上部に突出したシャープな形態だ。輝くメタルで覆われたルーフ・ストラクチュアの先鋭的なイメージは、リベスキンド特有のデザインである。 ハイエンドな商業施設のドラマティックなエントランス・デザインによって、ストリートの歩行者たちを呼び込み、表現的なスパイラル状のルーフ・ストラクチュアでカバーされたパブリック・アーケードへと誘引する。 パブリック・アーケードは小売りショップへのアクセスを提供するのに加えて、変化に富んだ都市体験を提供している。エントランス内部の水をフィーチャーした造形、インテリア花壇、ピストルのような木製グリッドの2階建てカフェ、カジノ・スクエアに通ずるアーケード奥にあるグラン・エスカリエ(大階段)などは、空間全体を活性化している。 メイン・エントランスはラスヴェガス通り側を外れたところにあり、その他にもふたつのエントランスが、ザ・アヴェニュー側をはずれたところにある。さらにライフスタイル・ホテルから空中ブリッジが通りを越えて建物へアクセスし、またマンダリン・オリエンタル・ホテルからも、ザ・アヴェニュー越しに空中アクセスが可能だ。巨大施設ゆえエントランスの数が多いのは当然だ。ひとつのアーバン・コアに集約された巨大施設の中核的なコネクションを担っているのが、リベスキンドの「クリスタルズ」なのである。 |
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