クーパー・スクエア41(アメリカ、ニューヨーク)
Design : Thom Mayne(Morphosis)
設計:トム・メイン(モーフォシス) ヴァーティカル・ピアッツァが醸すクロスディシプリナリー空間 |
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150年の伝統を誇るクーパー・ユニオンは、われわれ建築好きの間では、名教授ジョン・ヘイダックの名前で知られている。今は亡きヘイダックが、インテリアの改装を行ったのが1975年。そして今回、モーフォシスの手によって、3ヶ所に分校されていたアート、建築、エンジニアリングの各学部を、1棟に集めて完成したのが、「クーパー・スクエア41」である。 3つの学部をひとつの建物に集約するのは、学部相互間のクロスディシプナリー(学際的)な対話やコラボレーションを育むためだ。そのためにトム・メインが考案したのが、“ヴァーティカル・ピアッツァ”である。 新しく完成したアカデミック・ビルの内部を、アトリウムに沿って縦に貫く幅6mもある階段は、主動線だが学生同士の出会いの場所でもある。ここでは形式ばらない、社会的、知的、創造的な交流が意図されている。即興のミーティング、予定された会議、学生の集会、レクチュア、知的なディベートなどが開催される。 さらに5階から9階へは、中央アトリウムの周囲にスカイ・ロビーをはじめ、学生ラウンジ、セミナールーム、ロッカー、シート・エリアなどが配置されて、さらに高い位置からニューヨークのシティスケープを満喫することができる。また、スカイ・ブリッジがアトリウム空間の空中を飛んで、これらの空間群を相互に結び付けている。このようなダイナミックな内部景観の演出が、建築デザイン的な見せ場であることを、トム・メインは百も承知だ。 亀裂が入った彫刻的な3番街側のファザードは、今や「クーパー・スクエア41」のヴィジュアル・アイデンティティーそのものだ。クーパー・ユニオンは、“水や空気のように自由な教育”を目指した創設者、ピーター・クーパーの言葉通りの建築を今つくり得たといえる。
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