国立ゲノミックス研究所(メキシコ、バヒオ)
Design : TEN Arquitectos
設計:テン・アルキテクトス 断層トポグラフィに埋設された先端技術研究所 |
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テン・アルキテクトスを率いるエンリケ・ノルテンは、メキシコ建築界の巨匠テオドロ・ゴンザレス・デ・レオンやリカルド・レゴレッタに続く世代の建築家だ。その彼が10数年前、先の2大巨匠に伍して「国立アート・センター」でシアターを設計していたのには驚いた。若きノルテンは、この頃から実力を発揮し始め、「テレヴィザ・ビル」「ホテル・ハビタ」など、話題の作品を生み出し、現代ラテン・アメリカ建築界の人気建築家となった。そんな彼の近作が「国立ゲノミックス研究所」である。 建物はメキシコの食料庫といわれるバヒオに位置する農業研究所の増築棟だ。「国立ゲノミックス研究所」は、何もない野原に深く断層ラインが走る敷地にあるため、形態を限定するメタファーを生じさせている。配置計画では、このラインに沿ってプログラムを2分し、一方側に研究所を、他方に管理棟やオーディトリアムを配している。さらに両者の間には、パブリック・エリアが長く延びている。この構築された断層ラインが、各種のプログラムを関連づける親しみやすい市民スペースを形成している。 ランドスケープに掘り込まれたヴォイド空間が、囲まれたパティオを形成し、建物に自然光を導入。埋設された研究棟は、研究と実験のためのインシュレートされた私的で隔離したスペースを提供している。対照的に管理棟とオーディトリアムは、技術性と社会性の存在を主張している。 エンリケ・ノルテンのデザイン的特徴は、東西に延びた断層ラインのトポグラフィを利用して、南側に一番大きな研究棟を東西に長く配し、北側に管理棟とオーディトリアムを離して配置したことだ。静かな環境を必要とする研究棟は地中に配し、同様にオーディトリアムも地中に埋め込まれている。 ノルテンはファザードの透明性と精巧さによって、ランドスケープを建物内に導入している。だが建物と周辺環境とのコントラストは、ゲノミックス研究におけるエンジニアリングと高度技術の役目が、互いに相入れないのに通底する。プロジェクト全体の大半がカムフラージュされた効果は、徐々に建物と敷地をインテグレートさせ、同時に内部活動に複雑な様相を加味している。 |
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