Headquarters Pirelli RE1(Milan, Italy/ 2003)
ピレリRE1本社ビル(イタリア, ミラノ)
Design : Gregotti Associatti International
設計:グレゴッティ・アソシアッティ・インターナショナル
建築に内包された強かなヴィジュアル・インパクト

イタリアのピレリと言えば、世界的なタイヤ・メーカーと知られている。そして「ピレリ・ビル」と言えば、巨匠ジオ・ポンティが設計したミラノ駅前の超高層で、20世紀屈指の名建築として有名だ。

「ピレリRE(不動産)本社」は、ミラノのビコッカ地区の北端にあり、総面積約10万㎡の敷地に立つピレリ・グループ・オフィス・ビル群の中核的な建物。本社は「ピレリRE1本社ビル」と「ピレリRE2本社ビル」のいずれもヴィットリオ・グレゴッティ事務所設計による2棟から成っている。ここに紹介するのは「ピレリRE1本社ビル」。そのデザイン・コンセプトは圧倒的にユニークだ。

建物は古いクーリング・タワーを平面の中心に捉え、その周囲を囲った形態である。タワーを取り込むのは、地下から14層分吹き抜けた巨大空間。この大空間を覆っているのが、オフィス群を積層化したほぼ正方形平面のストラクチュアで、一方向だけが巨大なガラス・カーテンウォールとなっている。

クーリング・タワーは新旧のピレリ社を繋ぐヴィジュアル・リンクとして保存された工業的遺産。高さ50mのキュービックな建物は、その彫刻的なストラクチュアをフレーミングする存在である。大空間に屹立するタワーは、記念碑的価値に加えて、強烈な視覚的・造形的インパクトをもっている。「ピレリRE1本社ビル」のデザイン的特徴は、まさにこの1点にある。

建物全体は、地下2層の基壇上の植栽された地表部分に乗っている。内部にはメインのエントランス・ポルティコや、駐車場が格納されている。建物の地上部分のうち、西側ファサードだけは、重さ168トンもあるフルハイトのガラス・カーテンウォールとなっている。

この巨大な開口部は多量の自然光を導入するだけではない。外部への開かれたパノラマが生み出す開放性に加え、外部から内部への透過性によって、内部に佇立するクーリング・タワーの迫力ある姿を外部へ開示することができるのだ。

中央ホールのクーリング・タワーは、単にピレリ社のヴィジュアル・イコンというだけでない。接続と分散の機能をもっている。外側のオフィス群を空中ブリッジで繋ぐ動線の中心的役割を担っている。さらにタワー内部には、地下2階と地上には1階、3階、8階、9階にフロアがあり、ミーティング・ルームやレセプション・ホールなどとなっている。

タワーの1階には350席の会議室がある、その周囲の内部中庭には、レセプション、階段群、エレベータがある。ここよりエレベータで11階までのオフィスと12階の機械室、さらに屋上のヘリポートへとアクセス可能だ。3階には6層分吹抜けのレセプション・ホールがあり、イベントやセレモニーに使用。円形大空間での活動は圧倒的にゴージャスな雰囲気であり、古いクーリング・タワーの活用が見事に成功したことを物語っている。


 
図面
 
建築家
   


©Leonardo Cendamo

■ヴィットリオ・グレゴッティ略歴

1927年 イタリア、ノヴァラ生まれ
1952年 ミラノ工科大学卒業
1953-68年 L.メネゲッリ&G.ストッピーノと協働
1955-63年 『カサベラ』誌編集長
1974年 グレゴッティ事務所設立
1974-76年 ヴェニス・ビエンナーレのディレクター
1976年- サン・ルカ・アカデミー会員
1995年- ブレラ・アカデミー会員
1996年 プラハ工科大学より名誉学位授与
1999年 ブカレスト工科大学より名誉学位授与。AIA名誉会員
2000年 イタリア科学&文化ゴールドメダル受賞
2003年 ポルト大学より名誉学位授与


■代表作

主な作品に、バルセロナ・オリンピック・スタジアム、ポンピドー・センター「ル・コルビュジエ展」デザイン、マルケ州庁舎、ブレシア会議センター、アルナルド・ポモドロ財団、ロンバルディア銀行本社、アガディール&マラケシュ・スタジアム、ピレリ本社ビル、上海浦江新都市、プロヴァンス・グランド・シアター、ビコッカ大学新ビル、上海バンド15/Aビル、ウディネ商業センター、ラバト美術アカデミーなど多数。

 

Materials : Courtesy of Gregotti Associatti International