ポルシェ・ミュージアム(ドイツ, シュトゥットガルト)
Design : Delugan Meissl Associated Architects
設計:デルガン・マイスル・アソシエイティッド・アーキテクツ 空飛ぶ巨大ミュージアム |
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話題になっている「ポルシェ・ミュージアム」のスゴさは、重さ35,000トンもあるミュージアムが、フローティング・ストラクチュアとして空中に浮遊していることだ。 ドイツ・シュトゥットガルトのツッフェンハウゼン、世界のスポーツ・カーの代名詞ポルシェの街。シュトゥットガルト・ダウンタウンからの街道と鉄道引込み線が生み出す3角形の敷地周辺にはポルシェ・センターや工場があり、名車「911カレラ」などもここで生産されている。 4階建ての建物は、1階がエントランス・エリアで、ロビー、レストラン、ショップ、クラシック・ガレージなどがある。2階は吹き放しの外部ヴォイド空間。つまりこの部分には3本の巨大なパイロン(支持柱)が、3階と4階のフローティング・ストラクチュアとしてのミュージアム部分を支えているのだ。まさに“空飛ぶ巨大ミュージアム”と言えそうだ。 浮遊する巨大なストラクチュアは、東西に長い白亜の鋭角的ボディ。長さ160m、幅70m、高さ(地上より)28mのスーパー・ストラクチュアは、視覚的にマッシブに見える割には、白の色彩効果のためか軽くフローティングしているイメージだ。 2階ヴィド空間を支配しているのは3つのパイロンだが、西側エントランス側の上部には、2組のV字形パイロンがあり、東側のそれは巨大な角柱1本である。3階と4階のミュージアム部分は、3次元ラティス構造によって、大きな躯体だが重量は軽く仕上げられている。 1階ロビーに入ると、独立したエスカレーター・コアがロビー中央から手前側に傾斜し、頭上を越えて3階へと延びている。エスカレーター・シャフトは、2階部分で外部のヴォイド空間を突っ切るため、ガラス張りの開口部となっている。 3・4階のミュージアム空間は、2層分がスロープ形式の回遊空間となっており、スムースに展示を鑑賞できる仕組みだ。内部も白一色のインテリアで、展示された新旧のカラフルなポルシェが映える演出である。 21世紀に入ってから、ドイツのベンツは「ベンツ・ミュージアム」をBMWは「BMWヴェルト」と、立派なミュージアムやセールス・センターをつくってきた。おそらくポルシェの経営陣は、これらの状況を意識して、デルガン・マイスル・アソシエイティッド・アーキテクツのちょっと派手だが、大胆かつダイナミックな案を選出したものと推察される。
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