バンカ・デル・オキオ財団(イタリア, ヴェニス・メストレ)
Design : Emilio Ambasz
設計:エミリオ・アンバース エコ・フレンドリー・グリーン・アーキテクチュア |
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エミリオ・アンバースといえば、「アクロス福岡」など、日本でもいくつかの作品を残した後、しばらく音沙汰がなかった。彼の作風はかなり以前からエコ・フレンドリーな緑をあしらったものが多く、その大胆なアイディアが当時の時代の流れにそぐわず、先端すぎたきらいがある。だが今となっては、サステイナブルな時代感覚にピッタリ合った感じがする。そのラインに沿った作品が、「バンカ・デル・オキオ財団」である。 イタリアのヴェネト州、ヴェニス・メストレにある敷地はフラットな2.8ヘクタールの土地であり、近くを走る道路からよく見える位置にある。ここはやはりエミリオ・アンバースが設計した地域病院の入口近くにある。3角形の建物は、平行四辺形の高さ12mの壁面2枚が直角に向き合う形で配置され、それらの先端上部が互いに近接し、その下に3角形の象徴的なゲートを形成している。緑青をふいた2枚の銅板製の大きな壁面が、建物の外に対する顔となっている。 さて建物の背後はと言うと、アンバースはやはり緑に固執している。東側ファサードの2階、3階、屋上には建物の間口いっぱいの長いバルコニーを設け、たっぷりの緑を植栽し、そのグリーンが植込みから溢れてバルコニーの外壁に垂れ下がっている。 さらにこの建物東側には、外部に円形の中庭が掘り込まれ、やはり植栽が十分施され、地下レベルで建物と直結している。また緑の芝生が敷き詰められた広い裏庭からも、外部階段をくだって中庭にアクセス可能となっている。 どこを向いても緑が目に入ってくる「バンカ・デル・オキオ財団」は、日本語で言えば「眼球財団」となる。眼球移植やその研究をはじめ、外科手術施設、幹細胞研究所、アイ・トリートメント・センター、オフィスを内包し、さらにEIDON財団の教育施設では450席のオーディトリアムが正面入口側の地下レベルに配置されている。 以上の知識をもってプランを見るとアンバースは面白い。両底角45度の2等辺3角形を挟んで、東西軸上にふたつの円形がある。エントランス前のロータリーと裏庭に掘り込まれた中庭である。もちろんアンバースは、ふたつの眼のメタファーとしてプランに盛り込んだ。 眼科治療の先端技術を収容した医療施設が、見事なまでに緑に覆われた丘のような建物として完成したのは、エミリオ・アンバースの執拗なまでのグリーン・アーキテクチュアへの強い希求であった。 |
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