ストラスブール・ゼニス・コンサートホール(フランス, ストラスブール)
Design : Massimiliano Fuksas Architetto
設計:マッシミリアーノ・フクサス・アルキテット 田園に舞い降りたオレンジ色のUFO |
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フランスでよく聞く「ゼニス・コンサートホール」は、ポップ・ミュージックを中心としたホールだが、多ジャンルの演奏や、スポーツ・イベントもやるらしい。1984年にパリのラ・ヴィレット公園内に、フィリップ・シェ&ジャン・ポール・モレルの設計で完成したものが最初で、現在まで16個が完成している。 マッシミリアーノ・フクサスとドリアナ・フクサスは、今回「ストラスブール・ゼニス・コンサートホール」を完成させたが、アミアンにも「ゼニス」を進行中である。ストラスブールもアミアンも、有名な大聖堂のある都市として知られている。近代的な「ゼニス・コンサートホール」と古いゴシック・タワーの対比は、偶然とはいえ面白い。 敷地はフランス北東部の都市、ストラスブールの郊外にある展示パーク用に開発されている64エーカーの土地である。広大な田園風景の中、巨大な楕円形のオレンジ色のUFOが舞い降りた印象だ。 「ゼニス」というと、ラ・ヴィレット公園のそれも同じだったがテント構造が多い。10,000人を収容するこのストラスブールの「ゼニス」も、グラスファイバーの両面をシリコン・コーティングした耐火メンブレインを使用したテント構造だ。建物の全周を、派手なオレンジ色のグラスファイバーで包まれた「ゼニス」は、目立つこと甚だしい。 フクサスはまず、現場打コンクリートで10,000人収容の楕円形のコンサートホールをデザイン。その周囲に、さらにそれより大きな5つの楕円形スティール・リングを層状に配置し、それをグラスファイバーのスキンで覆ったのだ。 5つのリングを支持するのは、コンサートホールの外周にそって配された傾斜したスティール・コラム群から延びたブレースである。しかし南側ではコンクリート壁とテント構造が近接しているので、コラムを省いていきなりブレースでコンクリート壁とリングを連結させている。 天井構造は客席ほぼ中央上部のセントラル・ハブから、22本の長いトラスがリングまで延びて、その下にキャットウォークがサスペンションされている無柱空間。その自転車のスポークのようなダイナミックな放射状のスティールの森は圧巻だ。 客席もメンブレインと同じオレンジ色で、背後のコンクリート壁には音響を配慮して、ウールのライニングが張られている。 |
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