Edificio Acqua (Punta del Este, Uruguay / 2009 )
エディフィシオ・アクア(プンタ・デル・エステ, ウルグアイ)
Design : Rafael Vinoly
設計:ラファエル・ヴィニョリ
海に繋がる水の建築

日本に「東京国際フォーラム」を設計したアメリカのラファエル・ヴィニョリは、もとはと言えば南米ウルグアイの出身。現在アメリカで大活躍のヴィニョリが、近年故国ウルグアイに完成させたのが「エディフィシオ・アクア(水の建築)」と呼ばれる海浜の豪華リゾート・マンションである。

敷地は大西洋に面するリゾート地、プンタ・デル・エステ。海際の道路に面する建物は、敷地形状に沿ったL字形プラン。延床面積約20,000㎡に34戸のゴージャスなリゾート・ライフを保証するマンションが配されている。

建物は、海側の低層部分から陸側へ向けて、長いスパンでステップバックして段状の特徴あるサイド・エレベーションを見せている。長いスパンを取っているのは、各階の海側テラスに22.5m×15mもの大きなプライベート・プールを設けたからだ。この段状に後退する形態は、海側から見た建物の視覚的な量塊性の減少に役立っている。

プールを持つペントハウス・アパートメントが6戸あり、それぞれプールに連続した広いテラス付のワンフロア・タイプで、最大のものは約1,500㎡もある超大型住戸だ。ヴィニョリは屋上から見下ろした時、視覚的に各々のプールが連続して海面につながり、無限に続く水面を構成するようデザインしたが、これが建物名「エディフィシオ・アクア(水の建築)」の由来である。

建物にはこの他5戸のダブル・ハイトのロフトと、23戸のワンフロア・タイプがある。広さは最小でも280㎡ある。インテリアでは、リビングとダイニング・エリアは海に面しており、ベッドルームやバスルーム、その他の部屋は背後が側面のガラス壁面に沿って配置されている。いずれもスペクタキュラーな日の出、日没が楽しめる。

外壁は海洋生物の化石が入ったジュラ産の石貼りという豪華な仕上げ。リビング・エリアのインテリアはフルハイトのガラス張りで、パノラミックな景色を満喫できる。カウンター・トップはホワイト・マーブル、キャビネット類は黒檀、キッチンなどのハードウェア類は輸入のステンレス・スティール製と、いずれもデラックス仕様だ。

ヴィニョリが故郷ウルグアイに初めて完成させた「エディフィシオ・アクア」は、ウルグアイでも有数の自然美に恵まれた地域にある。敷地のコントラストを尊重したヴィニョリのコンセプトはウルグアイ・ハウジング・マーケットにおけるハイエンド・ユーザー向けの超豪華マンションとして結実した。







 
図面
 
建築家

■ラファエル・ヴィニョリ略歴

1944年 ウルグアイ、モンテヴィデオ生まれ
1968年 ブエノスアイレス大学建築学部卒業
1969年 同大学大学院建築&都市計画学部修了
1978年 アメリカへ移住し、ハーヴァード大学GSDで講師を務める
1979年 ニューヨークへ移動
1983年 ラファエル・ヴィニョリ設計事務所設立
1989年 東京国際フォーラム・コンペに勝利
1993年 アメリカ建築家協会(AIA)名誉会員
2006年 イギリス王立建築家協会(RIBA)名誉会員
2007年 デザイン名誉賞

©Roman Vinoly


■代表作

主な作品に、「シカゴ大学ビジネス・スクール」「ブラウン大学ワトソン国際研究協会」「ハワード・ヒューズ医療研究所」「東京国際フォーラム」、「国立ヘルス協会」「ジャズ・アット・リンカーン・センター」「レスター市立劇場&舞台芸術センター」(イギリス)、「クリーブランド美術館」「タンパ美術館」「デューク大学ナッシャー美術館」「キンメル舞台芸術センター」「ブルックリン子供博物館」「レーマン・カレッジ体育館」「プリンストン大学スタジアム」「ルイス・スィグラー研究所カール・アイカーン実験棟」「エディフィシオ・アクア」「クリーブランド美術館東棟増築」など多数。

 

 
Materials : Courtesy of Rafael Vinoly Architects