アンジェ・ル・ケ・シアター(フランス, アンジェ)
Design : Architecture Studio
設計:アーキテクチュア・スタジオ 屋上で都市景観と対話する劇場 |
|||||||||||||||||||||||||||||||
パリの南西約300kmにあるアンジェは、世界的に知られているリキュール、“コアントロー”の生産地として知られている。この都市を貫流するロワール川の岸辺に完成したのが、マルチな舞台芸術の拠点となる「アンジェ・ル・ケ・シアター」だ。 建物は延床面積16,500㎡の中に、971席のメイン・シアターをはじめ、400席の可変オーディトリアム、ドラマ・スクール、ダンス・スクール、加えてパブリック・フォーラムという多目的スペースがある。 このシアターはアンジェの街やその近隣地域では文化的な中核をなす建築であり、同市の過去数10年に渡るカルチュラル・ダイナミズムの強力なヴェクトルになっている。“創造、訓練、都市活性化”といったテーマを主軸にした建築計画は、「アンジェ・ル・ケ・シアター」の建物自体が都市性を高めることに貢献している。 アーキテクチュア・スタジオによれば、都市と「シアター」間のアーバン・リンクを構築する建築的手法のひとつは、「キング・ルネ城」の堂々たる雄姿をフレーミングするオープンなペリスタイル(列柱郭)を都市に向けてつくることであると定義する。「シアター」からのロワール川越しの城郭へのヴィスタを考慮した屋上デザインは、まさにこの定義を裏付けるものである。 「アンジェ・ル・ケ・シアター」のデザイン的な圧巻は、ロワール川に面したガラス張りのパブリック・フォーラムだ。川側の入口を入ると正面の左右60mほどのRC大壁面に、造形的な開口部や開口部を模したパターンが穿たれている。しかもそれらが、左半分は赤色、右半分が紫色に塗られている。これがのっぺらぼうのようになりがちなコンクリート大壁面を、躍動感に満ちた表情のある壁画のように仕立てているのだ。 この空間はイベント、集会、見本市、展示会などどのようなアクティビティにも対応できるマルチパーパス・ホールで「シアター」のエントランス・ホールも兼ねている。川側ファサードの中央部にはエレベータ・シャフトが立ち上がっている。外部から直接エレベータに乗り、屋上に出て周囲の都市景観と対話することができる、素晴らしいサービスが付いた劇場なのである。 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||
|