サラゴザ・ブリッジ・パビリオン(スペイン, サラゴザ)
Design : Zaha Hadid
設計:ザハ・ハディド グラジオラス形ブリッジ・パビリオン |
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プリツカー賞受賞者唯一の女性建築家ザハ・ハディド。彼女が担当した「サラゴザ・ブリッジ・パビリオン」は、サラゴザ博2008の展示パビリオンとして、エブロ川にかかる橋にパビリオンを合体させた建築である。つまり橋という土木とパビリオンという建築を一体化させた作品である。ヴェニスのレアルト橋を例に挙げるまでもなく、この「ブリッジ・パビリオン」のような居住橋は橋の中に何らかの空間を持つもので、それが住居とは限らない。 全長260mの橋は、ほぼ川の中央部に橋脚があり、そこまでは1本の屋根つきの橋だが、その先から博覧会場までは、複数のパビリオンが並行するという複雑な橋だ。ザハ・ハディドが考案したコンセプトは、グラジオラス。花のグラジオラスの他に、“胸骨体”という意味をもつこの言葉を、ザハは「ブリッジ・パビリオン」のデザイン・コンセプトとした。中央のスパインから左右に肋骨のように延びるストラクチュラル・システムだ。 複数の長いパビリオンが並走するブリッジには、展示スペースが長いパビリオンに格納されている。断面図からも分かるように、複数のパビリオンは、一部が2階建てになったり、2階の上部に中3階ができたり、2階スラブからサスペンション構造で中2階を吊るすとか、ザハらしい非常に複雑な構造だ。 「サラゴザ・ブリッジ・パビリオン」の最大の特徴である技術的な面のほかに、ザハ・ハディド゙はサステイナブル・デザインにも取り組んだ。「ブリッジ・パビリオン」のエンヴェロップ(殻)は展示スペースを取り囲んでいるが、そこに自然要素が侵入して来るのだ。内部のマイクロ・エンバイロメントが、外部の天候次第で変化し、最小の冷暖房インフラで事足りるようになっている。彼女は多種の開口部をデザインし、川面を渡る風を取り込んで夏の暑さを軽減させている。 「ブリッジ・パビリオン」のテーマは“水、ユニークな資源”であった。ニューヨークの建築家ラルフ・アッペルバウムが創案したインタラクティブなマルチメディア展示は、水という資源の危機とその解決を図るという主旨。川面の上というテーマにぴったりの場所を得た博覧会であった。 |
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