A.提案部門課題
課題:あたたかいガラスの家

近代以降の建築において、ガラスは欠くことのできない素材である。

光を透過させるという特性から、外装を構成する上で主要な役割を担ってきたが、その美学は、ミース・ファン・デル・ローエのドローイングによって、シャープで、透明感に溢れ、冷たい輝きを放つといったものとして比較的早い時期に規定された。以来、建築におけるガラスの放つイメージの規範となり、基本的には更新されることもなく、未だガラス建築の多くはその呪縛から逃れられない状況にある。
この間、エンジニアリング的にガラスはその脆弱性を乗り越えて構造体として利用されたり、耐熱性能を改善させたりといった種々の改良が見られるものの、美学自体が更新されることがないため、ガラス建築が新たな模索の段階にあると言える。
ここではそのような問題意識から、たとえば「冷たい」といったステレオタイプなガラスのイメージを更新するような、新たな美意識の提示を求めることにした。

題材は、原初的にして究極的建築ともいえる「家」として、「ガラスの家」の提案を求めることにした。その前に冠した「あたたかい」という言葉は、新たなガラスの美意識を求める姿勢の表れとして捉えて欲しい。タイトルそのままでも、あたたかいという言葉をさらに拡張した上でも構わない。新しいガラスの美学を切り開く「あたたかいガラスの家」を提示してほしい。

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