第10回JIA熊本住宅賞 審査結果
概要

質の高い住宅作品とその設計者を表彰することによって地域の建築文化の向上に寄与することを目的として日本建築家協会九州支部熊本会主催のコンペティション。

審査員

清水耕一郎(委員長) 水野宏 泉 潤 長谷川麻子 東大森裕子 ※敬称略

主催

公益社団法人 日本建築家協会九州支部熊本会

■第10回JIA熊本住宅賞 ※『作品名』/受賞者〔所属〕 ※敬称略
『 HouseT 』
森 繁〔森繁建築研究所〕
 
▼審査講評(選考委員長 清水耕一郎)
通りからは平屋建てに見える程に軒先を低く抑えた存在感のある大屋根で優しく構える。少し上がった中庭の陽光が格子戸越しに透けて見えるアプローチは、訪れる者に期待感を抱かせながら招き入れる。住まい手の趣味を活かした生活空間のつながりにも乱れがなく、快適な暮らしを支えている。周辺からのプライバシーを確保しながら通りに対して柔らかい表情をつくり、古くからの閑静な住宅地のまちなみに一層の品格を付与していることを評価し、「HouseT,ooe」をJIA熊本住宅賞とした。
■選考委員賞
『 新大江T邸 』
大森 創太郎〔大森創太郎建築事務所〕
 
▼審査講評
趣きの異なる3つの庭と2つの吹抜けを巧みに配置して、変化があり飽きのこない住空間となっている。通りに対しては、プライバシーを確保しながらも、生活の気配を控え目に表出して、まちなみとの良好な関係を形成している。こうした思慮深い住宅空間づくりを評価し、「新大江T邸」を選考委員賞とした。

『 K-HOUSE 』
長野 聖二〔長野聖二・人間建築探検処〕
 
▼審査講評
広いテラスにいる人達とコミュニケーションを交わしながらその下をくぐってアプローチし玄関を入ると、2×10材の棰木が架かる大空間に迎えられる。居心地の良い広場に遊びにきた感を覚える。多くの来客と過ごすのが好きな家族に相応しい住まいが実現していることを評価し、「K-House」を選考委員賞とした。
■奨励賞
『 南北通しの家 』
古川 保〔すまい塾古川設計室〕
 
▼審査講評
18cm角と十分な太さの主要な柱はベタ基礎に接地し、その足元を水平方向に地貫で固めた骨太な木造軸組に土壁しっくい塗りの住宅である。日本の伝統木造の技術及びそれを支える大工・左官・建具工など職人の体制を将来に向けて維持・発展させていくという設計者としての強い信念と同じことを志向する施主の意志が明確に表示された住宅である。
平面や外観の巧みさだけが競われがちな戸建住宅づくりの中で、木造軸組構法を支える技術・生産体制に強く働きかける本作品は、木造住宅づくりに携わる計画者・設計者は広く学ぶべきところがあると評価し、「南北通しの家」をそうした意味のとおりJIA熊本奨励賞とした。